2015年1月27日火曜日

感動する話

実家に帰るのは久しぶりだった。

昼過ぎ福岡駅についたが、家に向かうのは足が重く、
まずは腹ごしらえからだと自分に言い聞かせてカフェに入った。


今までごめんなさいと産んでくれてありがとうか…
もう、言ったことにして帰っちゃおうかな。
こんなに仲が悪いのに、そんなこと言えるか?

だいたい、そんなこと言わなくたって、
自分はどんなことでもするし、できる男なんだ。

そんな風に言い訳ばかりが頭に浮かぶ。

思い腰をあげて夕方前、ついに実家へ向かった。

懐かしい場所。
ここは元々は大好きだった祖母の家。
毎年新幹線で祖母の家に行くのが楽しみだった。

なのに、今はここに来るのがこんなに足が重いとは。

思い切ってチャイムを鳴らす。
出かけてていませんように…

ここまで来てまだ決心がつかない。

がちゃっとドアが開いて母が顔を出す。




あら、どうしたの?
今日は誕生日なのに、福岡に仕事?

そんなわけないじゃんと思いながら家にあがる。

普段あまり会っていないからか、
思ったよりも長く話すことができた。

仕事の調子はどう?
結婚するような相手はいるの?





自分は最近こんなことをしているとか。

祖母は施設に入ってるけどとりあえず元気だとか。





久しぶりに母とこんな話をした気がする。





でも、ふときづくと気まずい沈黙。





時計をみるともう19時だった。
20時過ぎの新幹線に乗らないと広島には帰れない。

もう、いい加減言うしかない。





一生で一番勇気を振り絞った時だったかもしれない。

母さん。本当に今までごめん。
冷たくしたし、ひどいこともたくさん言って。













う、産んでくれてありがとう。



この家に生まれて本当に良かった。
の子供で本当に良かったよ。



あ、ありがとう…

なかなか言葉にならなかったけど、

言葉にするうちになぜだか涙が溢れてきた。

泣くつもりなんて全くなかったし、
適当に言うだけ言ってすぐに逃げようと思ってた。



だけど、いつのまにか、泣いてる…

びっくりするくらい涙が出た。

でも、それと同時になんだか心が軽くなったんだ。



しきりにありがとうと繰り返した。


結局、新幹線には間に合わず、夜行バスで帰った。

家の外に出ると、何時の間にか雨もあがって
綺麗な星が見えた。

それから先、世界の景色が明るくなったきがして、
すべてのことに感謝ができるようになったんだ。